鶴見にも老舗市民酒場 … 大衆酒場「巴屋(ともえや)」(鶴見)

昼の「鶴見食堂」のあと一休みして、改めてやって来たのは大衆酒場「巴屋」。
昭和14年(1939年)創業の、横浜の市民酒場の流れを汲む老舗酒場だ。
店内は左手にカウンター9席、右手は4人用のテーブル席が4卓の全25席。
午後6時の店内は、4人組のサラリーマングループが、4人用テーブルの1卓を囲んでいて、すでに盛り上がっている。

その4人組以外の先客はおらず、カウンター席はすべて空いているのだが、入口から2番めの席が予約で押さえられているので、そこから一つ空けて、入口から4番めの席に腰を下ろすと、すぐにお手拭き、袋入りの割箸、そして「お通し」(200円)のポテトマカロニサラダが出された。

店は店主ご夫妻が二人で切り盛りされている様子。
飲み物として「ホッピー」(450円)を注文すると、氷入りでナカ(焼酎)たっぷりのホッピージョッキとマドラー、そしてソト(瓶のホッピー)が出された。

ックゥ~~ッ!
昼もホッピーを飲んだけど、夜もやっぱり美味しいねぇ。

最初は刺身をもらおうかな。
刺身系では「刺身盛合せ」(1,500円)、「本日のサービス刺盛」(800円)、「まぐろ」(600円)、「いか刺」(500円)、「カンパチ」(650円)、「たこ」(500円)、「ほたて刺」(450円)などが、短冊メニューとして並んでいる。
その中から、「本日のサービス刺盛」を注文すると、マグロ3切れ、ホタテ2切れ、カンパチ3切れの盛り合わせを出してくれた。

カウンターには、「巴屋」の銘が入った酒器や枡が積み上げられていて、この酒場の長い歴史を感じることができる。
店内には新たにサラリーマン4人組、さらにそれに続くように一人客も3人が次々に入ってきて、4席めに座っている私の奥に、6席め、8席め、そして9席めと、飛び飛びに客が入った状態になった。

ホッピーの「ナカ(おかわり焼酎)」(300円)をもらって、刺身に続いて「もつ煮込み」(400円)を注文すると、残念ながら売り切れとのこと。

『それじゃあ』と注文したのは「牛スジ煮」(400円)。
デミグラスソースや味噌で味付けた「牛スジ煮」は、3代目となる当代店主のオリジナル料理で、この店の名物料理のひとつなんだそうな。

その3代目店主の倉下至弘(くらした・よしひろ)さんは、フェンシングの選手として国民体育大会に10回以上も出場されたんだそうで、店内には日本フェンシング協会からの、『あなたは本競技選手として国民体育大会に多年にわたり出場されたことは本競技の発展のために貢献するところ誠に大なるものと確信いたします。この功績をたたえ記念品を贈り茲(ここ)にこれを表彰いたします』という表彰状も掲示されている。すごいねぇ!

その後も次々にお客さんが入ってきて、テーブル席はすべてが埋まり、カウンター席の予約客も到着した。
この予約客をはじめ、店内のお客さんたちは常連客が多いようだ。

ゆっくりと2時間ちょっとの酒場浴。今夜のお勘定は2,150円でした。どうもごちそうさま。
この日はまったく気付かなかったのですが、実は「巴屋」は、この訪問から17日後、2023年7月28日(金)の営業をもって、84年の長い歴史に幕を引いたそうです。
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