うなぎ串からのTKG … 「うな達(うなたつ)」(池袋)

行きたいのに行けていない課題店が池袋にもある。
昭和49(1974)年創業の「うな達」だ。
このところ、金曜ランチのカレーライスでテレビ番組に取り上げられることが多いが、「うな達」という店名からもわかるとおり、本来はうなぎの串焼などで飲める酒場である。

店に着いたのは、開店時刻から20分後の、午後5時20分。
地下へと続く階段を下りていくと、扉も何もなくそのままスルッと地下1階の店舗に入ってしまう。
階段を下りたところにいる女将さんと思しき女性に「ひとりです」と告げると、袋入りのおしぼりと、「お通し」(220円)の小鉢をひとつ手に取って、「こちらにどうぞ」とカウンター奥の角席まで先導してくれた。

カウンター席は、ざっくりというとキリル文字のЛ(エル)の形をしていて、店の入口はЛの右下。
そこから店の奥に向かってまっすぐ4人ほどの席(Лの右側)があり、左に折れて(Лの上側に)2人ほど、さらに左に折れてまた(Лの左側に)4人ほどの席があって、最後がちょっと右に折れて(Лの左下側の)厨房前に2人ほど座れるようになっているのだ。

席に座りつつ、案内してくれた女将さんに「ホッピーセット(白)」(495円)と「うなぎセット」(616円)を注文する。
「うなぎセット」は、この店のうなぎ串焼き4種4本のセットで、ひとり1回しか注文することができないんだそうな。

すぐに出された「ホッピーセット(白)」は、サワーグラスに氷入りで、中(焼酎)の量が多いこと!

濃いめのホッピーを作って、いただく「お通し」は、少量の筑前煮のような煮物である。

改めて店内のメニューを見てみると、うなぎ料理はもちろんのこと、刺身や焼き鳥、揚げ物、焼き物など、普通の酒場にあるような料理は、ほぼそろっていて、しかも値段が安い。

うなぎの串焼きは、すぐに出てくるお店が多いので、この店でも「うなぎセット」だけしか注文しなかったのだが、注文から20分ぐらい経っても、まだ「うなぎセット」が出てこない。

そこで、「ホッピー中(なか)」(220円)をもらうと共に、うなぎの骨を揚げた「カルシウム」(275円)を追加注文するも、これまた注文を受けてから調理するようで、残念ながらすぐには出てきませんでした。
魚の刺身などが比較的早く出てくるようですねぇ。

注文してから30分ほど。やっと「うなぎセット」がやって来た。
「一口蒲焼」(220円)は関西風の蒸さない蒲焼。だから焼きに時間がかかるんだなぁ! しかしこれは旨い!
「かぶと焼」(110円)は、しっかりと蒸しているので骨もホロホロに柔らかい。
「きも焼」(154円)は、ふわんとほろ苦さを感じるのだが、その苦みが旨みにつながっていて、とてもいいつまみになる。
「ひれ焼」(132円)は女将さんも一推しの逸品。ヒレと一緒にニラが巻き込まれていて、これまた素晴らしい旨みである。
あぁ、ひとりで3皿ぐらいいただきたいところなんだけど、ひとり1皿限定なのが残念だ。

「うなぎセット」の5分後ぐらいに、「カルシウム」もやって来た。
これもいいつまみになるねぇ。量が多いのも嬉しいではありませんか。

カウンター席の背後(Лの右側)が小上がりの座敷席になっていて、4人用の座卓がずらりと並んでいる。この座敷席には30人ほどが座れるようだ。

店は女将さんと男性二人の3人で切り盛りしているようだが、男性二人はカウンター内の厨房で調理を担当している。
ホールや注文は女将さん一人が担当しているのだが、大勢のお客さんからの注文にパニくることもなく、終始にこやかに接客されている。素晴らしいですね。

「カルシウム」も残りわずかになってきたので、続いては黒板メニューにある「鯛かぶと焼」(440円)を注文し、3杯めとなる「ホッピー中(なか)」(220円)をもらった。
出てきた「鯛かぶと焼」は、食べやすいようにという配慮からか、身の内側のほうが上になるように盛り付けられている。

カマの部分が大きいのも嬉しいではありませんか。
午後7時には座敷席もだいぶ埋まってきたが、にこやかな女将さんはもちろんのこと、厨房の二人も焦らない。お店の3人がゆったりとマイペースなのがいいよねぇ。
お店の誰かがテンパると、それが伝搬するのかお客も焦る。そうなると、その酒場全体がギスギスとした雰囲気になってしまうのだ。
よく「酒場浴」という言葉を使っているが、まさに酒場という温泉に入っているように、ゆるゆると豊かな時間を過ごしたいよねぇ。

4杯目となる「ホッピー中(なか)」に合わせて、裏メニューらしき「TKG」(330円)を注文すると、「TKG、美味しそうだった?(笑)」と女将さん。
実はついさっき隣のおにいさんが、最後にこの「TKG」で〆て席を立ったところだったのだ。
「はいっ! すっごく美味しそうでした!(笑)」
「TKG」はもちろん「たまごかけごはん」の略。
ごはんにかけられているのが、うなぎのタレなのが、この店ならではだ。

ここに生卵を溶き入れるんだから、コクも旨みも倍増だ。
うなぎのタレがよく効いてるよねぇ。
「このTKGは、絶対につまみになる逸品だ。お酒が残っているうちに注文しよう!」と思って、ソト1・ナカ4となる4杯めのホッピーに合わせて注文したのでした。

そして予想どおり美味しくて、予想どおりいいつまみになる! 「TKG」、大正解だ!
ゆっくりと3時間ほど楽しませてもらって、今夜のお勘定は3,030円。
メニュー表記価格の合計額である2,760円に、消費税276円が加わって、3,036円のところ、10円未満を切り捨てて3,030円になったようでした。
そんなことから、この記事の中では、料理やお酒の値段は、メニュー表記価格に10%を加えた税込表記とさせていただきました。
お支払いは現金のみ。自分の席で支払うことができます。
やぁ美味しかった楽しかった。どうもごちそうさま。
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