50年酒場名物は骨付鳥 … 「藤ちゃん(とうちゃん)」(丸亀)

午後5時半。開店直後の「藤ちゃん」は、右手カウンター席の一番奥に、ご常連らしき男性一人客。
2番目の客となった私は、逆にカウンター席の一番手前に陣取って、まずはこの店名物の「骨付鳥」(900円、以下すべてメニュー表記価格)を、前回は『親鳥』でいただいたので、今回は『若鳥』で注文した。
この店では、調理時間のかかる「骨付鳥」を、まず真っ先に注文しておくのがいいようなのだ。

その上で、改めて「ビール大」(650円)と「枝豆」(300円)を注文して、チビチビと飲み始める。
この店の料理は、カウンター内の壁の上部に並んでいる短冊メニューと、奥の壁のホワイトボードメニュー、そしてカウンター上に並ぶ大皿料理の中から選ぶ仕組みだ。

カウンター内の短冊メニューには、この店の定番の品、骨付鳥900、樽生大900、樽生中550、ビール大650、お酒450、焼酎450、鳥めし400、むすび300、納豆300、月見とろろ400、ノンアルコール300が並んでいて、ホワイトボードの手書きメニューには日替りの、ホタテ貝柱刺身550、マグロブツ切り600、マグロ山かけ600、カンパチ刺身600、鯨刺身600、アジ刺し500、牛たたき600、ニシ貝刺身600、ポテトサラダ350、ホタルイカわけぎ辛子すみそ400、ほうれん草おひたし300が並んでいる。

店内は入口から見て右手にカウンター8席、左手には4人用のテーブル席が2卓並んでいて、全席が埋まると16人となる。
今宵はテーブル席の1卓には予約が入っているようだ。

とそこへ、まずは「骨付鳥」のキャベツが出された。
このキャベツが出されるということは、もうすぐ「骨付鳥」もできあがるってことですね。
この時点で、「骨付鳥」の注文からだいたい15分である。

さぁ来た! 「骨付鳥」の『若鳥』である。
前回、『親鳥』を注文したときには、硬い肉でも食べやすいように、小さく刻むようにカットしてくれていたが、肉が軟らかい『若鳥』は大きめにカットしてくれている。
あららぁ~~っ。若鳥も美味しいですねぇ!

「藤ちゃん」の店主・藤純治(ふじ・じゅんじ)さんは、1953年(昭和28年)に丸亀で初めて骨付鳥を売り始めた店の料理人を務めたあと、1974年(昭和49年)に独立して「藤ちゃん」をオープンした。今年で創業50年である。
常連さんたちとの会話を聞いていると、店主は喜寿(77歳)を迎えたそうなので、27歳の時に独立されたってことですね。
これまで「骨付鳥」は『親』じゃなきゃと思い込んでいたが、今回、「藤ちゃん」の若鳥をいただいて『若』もいいということを再認識いたしました。

大瓶ビールを飲み切って、麦焼酎「二階堂」(450円)を水割りでお願いすると、チロリに入った焼酎と、水、氷、そして水割り用の氷入りのグラスをセットで出してくれる。

これで自分の好きな濃さの水割りを作るわけですね。
私の好みの濃さに合わせると、この麦焼酎1合で、3杯分の水割りを作って飲むことができるので、1杯あたり、なんと150円という素晴らしいコストパフォーマンスになるのでした。

「骨付鳥」の肉を食べ終え、骨ぎわの身もしゃぶりつくしたあと、残ったタレの中にキャベツや枝豆を投入していただくのが、これまた旨い。
若いお客さんたちは「むすび」(300円)を注文して、それを残ったタレに絡めながら食べている。

カウンター上にずらりと並んでいる大皿の中に、小魚を揚げた料理があったので、「これはなに?」と聞いてみると、「トラハゼ南蛮漬」だという。
瀬戸内の小魚の中では沖合いのほうにいる魚で、体の側面にトラのような縞模様があって、形はハゼに似ていることからトラハゼと呼ばれているんだそうな。
さっそくいただいてみると、これがかなり淡泊な味わいで、まったくクセがない。
小さなトラハゼにだけ、瀬戸内の小魚特有の旨みが残っているのは、皮の部分に旨みがあるからのようだ。
体が大きくなると、皮に対する身の比率が大きくなって、身の淡泊さに皮の旨みが負けちゃうんだろうなぁ。面白い!

最後は「ポテトサラダ」(350円)で締めくくる。
ポテトサラダと言いつつも、トマトやアスパラなども添えられているのが嬉しいね。

ゆっくりと3時間近く楽しんで、今宵のお勘定は3,400円。
現金で支払って、まだまだにぎわっている店を後にした。
どうもごちそうさま。
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