新たな出会いと喜びと … 「碧空(あおぞら)」(今治)
出張が多い仕事をするようになって8年。
全国各地に出かけていく中で、新たに出会う酒場も多かった。
今治への出張で、初めてやって来たのが、今治駅前の裏通りにある「碧空」だ。
裏通りの入口にある「サントリースナック 碧空」という門型の看板に引かれて、その路地の奥まで入ってみたのだが、現れたお店は、黄色と青のファサードという外観で、まるで喫茶店のよう。
店頭に置かれた電灯看板も喫茶店そのものなんだけど、店名の上には「台湾料理・飲茶料理」と書かれている。
さらに店の上部の大きな看板には、サントリーマークに加えて、「生ビール・台湾・飲茶・すっぽん料理」とある。いったい何屋さんなんだ?! なぞは深まるばかりである。
店に着いたのは、ちょうど開店時刻の午後5時半。勇気を出して店に入ってみることにした。
「ひとりです」と入ると、先客はなく、直線カウンターの中央部の席に案内された。
まずは「瓶ビール」(中瓶650円)と、一品目のつまみとして「中華クラゲ」(400円)を注文した。(お通しや席料などはないようだ。)
店内はこのカウンター席とテーブル席の全25席。今は空いてるんだけど、予約で確保されている席も多い様子。
この「中華クラゲ」は、壁の手書き白板メニューの中の一品。
この品書きや、卓上のグランドメニューに並ぶ品々を見ると、確かに「台湾料理・飲茶料理」の店である。
しかしながらカウンター内のバックバーの棚には、各種ウイスキー類がずらりと並んでおり、オーセンティックバーのようでもある。
あっと言う間に中瓶ビールを飲み切って、いただいたのは「角ハイボール」(500円)。
この「角ハイボール」が、なんとW(約60ml)の濃さ! 美味しいですねぇ。
2022年9月に、惜しまれながら64年の歴史に幕を下ろした、松山の「バー露口」の不動の名物が、角ハイボール(ジガー、約45ml)だった。
南宇和(愛媛県)出身の間口一就さんのバー、「銀座ROCK FISH」の名物も、氷無しの「角ハイボール(ダブル)」。
こうして「角ハイボール」の名店がそろうと、愛媛県人として嬉しいですねぇ。
年明け早々の記事なので、昨年(2024年)、新たに出会った名酒場も、何軒かご紹介させていただきます。
大宮(埼玉県)で出会ったのは、立呑処「なごみ」。
この時の大宮出張では、過去に1度しか伺えていなかった「いづみや」(本店及び第二支店)に、それぞれ何度かずつ伺うことができたので、その出張の最終夜の1軒として、あえて「いづみや」以外の酒場を探して出会ったのが、ここ「なごみ」だったのです。
おつまみはすべて、120円、160円、260円という三つの価格帯。日本酒、酎ハイ、角ハイボールなどの飲み物のほとんどが270円だ。これには驚きましたねぇ。
最後に「葱チャーハン」(120円)で締め括ったのでした。
鶴見(横浜)で出会ったのは、予約しないと入るのが難しいという大人気店、「壱豚」だ。
東京の調理師専門学校を卒業後、各地のレストランで修業を重ねた店主が「壱豚」を創業したのは2014年、36歳のとき。『毎日1トンの豚肉を使うくらいの店にしたい』ということで、「壱豚」という店名にしたんだそうな。
豚料理はもちろんのこと、「おつまみ盛り合わせ」(590円)に入っていた、ブリ、タコ、真鯛、マグロすき身の刺身も美味しかったなぁ。
初めての北海道、初めての札幌出張で出かけたのは、長年の課題店、「第三モッキリセンター」でした。
店の奥に向かって長い長いコの字カウンターの、ど真ん中の席に座らせてもらって、しかもたまたまとなりの席に座ったのが、この酒場に通って35年という大常連さん。
「第三モッキリセンター」の歴史や料理、お酒などに関するいろいろなお話を伺いながら飲むことができて、最高の初訪問となりました。
札幌には他にも良い酒場がたくさんありそうだったのですが、一晩だけしか機会がなくて、とても残念でした。
一夜限りの札幌出張の翌日は、これまた一夜限りの新潟出張。
新潟も今回が初めて。やって来たのは新潟駅近くの「須坂屋そば」だ。
事前の調査で、『絶対にこれをいただこう!』と決めていたのが「新潟三昧セット」(700円)。これは「佐渡エゴ」(単品450円)、「のっぺ」(単品650円)、「栃尾油揚げ」(単品560円)を、少しずつ盛り合わせたもの。
最後はもちろん、『へぎそば』で締め括りました。
今日伺っている「碧空」も、年末ギリギリに出会うことができた初訪問酒場の1軒だ。
そんな「碧空」で、「中華クラゲ」に続く一品としていただいたのが、「飲茶錦盛り」(600円)。
これは当店自慢の飲茶である、小籠包、えび餃子、イカシューマイ、肉シューマイ、プチ肉まんの5種類を、それぞれ1個ずつ盛り合せたもの。
『錦盛り』という料理の名称は、『多種類の材料を取り合わせた中国料理』という意味の、『什錦(シーチン)』から来ているそうだ。
「須坂屋そば」の「新潟三昧セット」と同様に、いろんな味がちょっとずつ楽しめるというのが嬉しいではありませんか。
「角ハイボール」(500円)もおかわりだ。これは本当にうまいっ!
松山市のとなりの今治市でこれを飲んでいると、つい「露口」のことを思い出してしまうではないか……。
初代店主の写真など
ここ「碧空」は1950年(昭和25年)の創業。現店主のお父さんは台湾出身で、戦争末期に徴兵されたが無事に戻って来られ、日本人の奥様と結婚して、この地に「碧空」を開店した。
この店のことを記した「いけちゃんブログ」によると、そのお父さんが、戦時中に西洋音楽のレコードを聴いていたところ、「有事に敵国の音楽を楽しむとはけしからん!」と、憲兵が怒鳴り込んできた。
「これはドイツの『Blauer Himmel 碧空』。敵国ではなく、同盟国の曲だ!」と言い返して事なきを得たそうで、それが店名の由来になっているとのこと。
現在の二代目店主ご夫妻の似顔絵など
現在は、二代目の店主ご夫妻がお二人で切り盛りされていて、建物は創業当時のまま。
続々と店にやって来たご常連さんたちの話によると、予約していないと入ることができないほどの大人気店なんだそうな。
ふらりと入ることができた今日は、すごくラッキーだったんだなぁ。
1時間半ほど楽しんで、お勘定は2,650円でした。どうもごちそうさま。
◆ ◆ さらなる2024年の初酒場 ◆ ◆
ということで、本編の中では「碧空」も含む、5軒の2024年の初酒場を紹介させていただきましたが、2024年に初めて出会った酒場はそれだけではありませんでした。
2024年1月に初訪問したのは、神戸は湊川公園駅の近くにある、立呑み処「いちよし」。
3品の『おまかせアテ』に飲み物が付いた「500円セット」に引かれて入ってみたわけだが、この店の最大の魅力は、ひとりで切り盛りされている店主の大ちゃんにあった。
店内はその大ちゃんを慕う常連さんたちでにぎわっていて、徹頭徹尾、愉しい空気に包まれていたのでした。
2月に出会ったのは大宮の「いづみや本店」。
初めて大宮に来たのは2023年4月だったんだけれど、その時は「いづみや本店」は満席で入ることができず、「いづみや第二支店」にしか行けなかったのでした。
第二支店の店内が2部屋に分かれているのに対して、こちら本店は大きな一間。
こんなにも大勢のお客さんが入っているのに、あまり圧迫感を感じないのは、天井が高いからに違いない。
3月は舞鶴の「丸糸食堂」。
真っ昼間に訪問したら、店内は地元のご常連さんたちでほぼ満員。
そして全員が「日替ランチ」(500円)。今日は、「おでん盛」、「かれいのからあげ」、「かまあげうどん(小)」、「ライス」である。
これをつまみに、冷蔵庫から自分で取ってきたビールや缶チューハイをいただくんですねぇ。
次回はぜひ夜の部で飲みたいなぁ。
5月に初めて行ったのは、小山(栃木県)の野楽炉「大関」。
なんと「宝焼酎」の一升瓶が2,640円と激安だ!
「生ホルモン炒め」や「焼きとり」でグイグイと飲んだあと、最後は小山ならではの、ジャガイモのが入った「五目焼そば」(550円)で締め括った。
横浜駅のすぐ近くにあるIZAKAYA「さがみ」も、伺ったのは今回が初めて。
午後3時の開店から、午後6時までに注文することができる「早割セット」(980円)は、写真の料理4品に、選べるドリンクが1杯付いて980円と超お得!
何度も来ている横浜なのに、知らなかったなぁ。
清水への出張でやって来たのは「金の字 支店」。
何度も来ている清水なのに、初めて「もつカレー煮込み」(1本140円)の元祖、「金の字」に来ることができたなぁ。
「金の字 支店」の翌日は、清水駅のすぐ近くにある、旬の野菜料理も美味しい炭火焼鳥「とさか」にやって来た。
いただいた料理はすべて美味しかったが、なかでも、初めていただいた「里芋コロッケ」(385円)が絶品だったなぁ。
出張ではない都内呑みでも、新たな酒場との出会いはある。
「赤札屋 六本木店」、存在は知っていたが訪問したのは今回が初めて。
「赤札屋」と言えば「メガチューハイ」なんだけど、ここ六本木店には、それをさらに上回る「1リットルチューハイ」(350円)があった!
12月の千葉出張で出会ったのは「もぢょい有限会社 蘇我駅西口店」。
「白ホルモンユッケ」(439円)を注文すると、出てきたコブクロのユッケが美味しくて美味しくて、箸が止まらん!
今までに出会った名酒場へも再訪問したいし、新たな名酒場にも出会いたいし。まったくもって嬉しい悲鳴なのでした。
今年もまた、全国各地の新たな名酒場に出会いたいと思っています。
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