迷う焼そば幸せな時間 … 「一軒め酒場 横浜西口店」(横浜)

午後4時半、やって来たのは「一軒め酒場 横浜西口店」。
外はまだ明るい。しかし一歩足を踏み入れれば、そこはもう勝手知ったる大衆酒場だ。
仕切り板で8人分の区画に区切られた長テーブル席の一角に腰を下ろす。

まずは「酎ハイ」(209円)と「おやじ好みの玉子サラダ」(385円)を注文して、今宵の宴をスタートさせる。
とにかく、焼酎と炭酸水だけのプレーンな酎ハイが大好物なのだ。
「料理の味を邪魔しない」「甘くなくて飽きない」「これが一番落ち着く」の三拍子が揃っている。
しかも、「一軒め酒場」の酎ハイは1杯209円。この驚異的な安さのおかげで、懐を気にせず遠慮なくグイグイと喉を鳴らせるのが、何よりもありがたい。

冷たい酎ハイで喉を潤していると、玉子サラダが運ばれてきた。
千切りキャベツの上に、スライスされたゆで卵が2個。
そこにベーコン、ブロッコリーが添えられ、マヨネーズがぽってりと載っている。
キャベツにはあらかじめドレッシングがかかっており、どこから箸をつけても満足できる。

2杯目の酎ハイを注文し、合わせるつまみに「揚げたてピリ辛肉味噌」(308円)を選ぶ。
ちなみに、肉味噌なしのプレーンな「揚げたて」は264円。44円の贅沢だ。

この「揚げたて」、中の豆腐は崩れずに豆腐のまま残っているのだが、芯までしっかりと加熱されている。
口に運べば、ほんのり温かい湯豆腐風。肉味噌のピリッとした刺激の奥から、大豆の優しい旨みがしっかりと感じられる。
プレーンな酎ハイとの相性は、言うまでもなく抜群だ。

さらに3杯目の酎ハイを迎えるにあたり、主役に選んだのは「縞ほっけ」(429円)。
これがまた、期待を裏切らないクオリティだ。
塩味と旨味のバランスが絶妙で、噛むほどに脂の甘みが滲み出てくる。いいつまみだ。

しかも嬉しいことに、中骨やエンガワの部分までカリッと香ばしく揚がっている。
普段なら残してしまうような中骨や皮も含めて、すべてを余すことなく食べ進めることができる。
魚の旨味を余すことなく味わい尽くし、酎ハイを流し込む瞬間は、まさに至福のひとときである。

時計の針も良い進み具合となり、いよいよ最後の4杯目の酎ハイである。
ここからは、締めの一品であり、同時に最後の強力なつまみとなる「焼きそば」の時間だ。
実はここから、私にとっての「静かなる激闘」が始まる。「一軒め酒場」には、二大巨頭とも言える焼きそばが存在するのだ。

マイ定番は、本来なら「〆の旨塩焼そば」(385円)である。
メニューに『仕上げに、旨味たっぷりの特製鯛塩をふりかけました』と謳われている通り、この特製鯛塩の奥深い味わいと塩気が、実にいい酎ハイの相棒になる。

しかし、もう一方の「酒場のソース焼そば」(418円)も決して負けてはいない。
メニューには『しっかり焼き上げることで、モチッとした麺にカリカリ感をプラス。食事から「つまみ」へと昇華させました』とある。
その言葉に偽りはなく、麺の焦げ目の香ばしさがたまらない。
さらに、トッピングされた刻みネギの天ぷらと、脇に添えられたマヨネーズ。
この二者が合流することで、ソース焼きそばの「つまみ力」は爆発的に跳ね上がる。

「うぅ~~っ、今回はどっちにしよう……」
毎回、メニューを前にマジで迷う。塩の繊細な旨味か、ソースの心地良いジャンクさか。
脳内で激しい論争を繰り広げた結果、この日、私の本能が欲したのは「ソース」だった。
ネギ天のコクとマヨネーズの背徳感をプレーンな酎ハイで洗い流す心地よさは、やはり何物にも代えがたい。
どちらを選んでも正解、だからこそ、この迷う時間すら愛おしい。

気がつけば、2時間半ほどが喧騒の中で過ぎ去っていた。
周りの客の話し声、店内の活気、心地よい五感への刺激。
それらに身を委ねる、贅沢な「酒場浴」の時間。
本日のお勘定は、酎ハイ4杯とおつまみ4品で、締めて2,376円。
この満足感でこの値段。毎度のことながら、本当に頭が下がる。
クレジットカードで支払って店を出た。どうもごちそうさま。
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